大動脈弁狭窄症に対する新しい治療法(TAVI)

大動脈弁狭窄症に対する治療方法は、人工心肺使用下に心臓を停止して行う大動脈弁置換術が第一選択となります。手術技術の向上、人工心肺や心停止液の改良に伴い、心臓手術の安全性は劇的に向上していますが、年齢、合併疾患などにより、従来の心臓手術が困難ないしは不可能と判断される場合があります。平成25年10月より、手術不可能と判断された大動脈弁狭窄症患者様に対する新しい治療法が日本でも導入されました。経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI; Transcatheter aortic valve implantation)と呼ばれる新しい治療法は、従来の弁置換術と比較し、“大開胸を要さない。人工心肺を使用しない。心停止を要さない。”などの特徴があり、そのため、従来の治療法より低侵襲(身体へのダメージが少ない)と考えられています。

TAVI治療には経大腿動脈アプローチと経心尖アプローチの二通りの方法があります。経大腿動脈アプローチでは大腿部(股の付け根)に小切開を行い、動脈を露出します。動脈からカテーテルを挿入し、カテーテルに沿って人工弁を大動脈弁まで誘導、留置します。経心尖アプローチでは左前胸部に小切開を行い、心臓の左心室の先端からカテーテルを挿入します。

TAVI治療は、従来より循環器内科医によって行われていた心臓カテーテル治療の技術と、心臓外科医によって行われていた心臓手術の匠の技の両方を駆使して行われます。

TAVI治療の良い適応は、

重症大動脈弁狭窄症を有し、かつ、

  1. 高齢や、基礎疾患などの要因で心臓手術のリスクが極めて高いと考えられる患者様
  2. 過去に冠動脈バイパス術など、心臓手術を受けておられる患者様

当院におきましても平成28年1月にTAVI実施施設としての認定を受け、同年4月よりTAVI治療を開始し、順調に治療経験を重ねていっております。

この新しい治療法を地域の患者様にとって治療の選択肢の一つにさせていただきたいと考えております。また、TAVI外来において大動脈弁狭窄症の患者様を総合的に診療させていただき、個々の患者様にとって最もふさわしいと考えられる治療方法を提案させて頂いております。

 

大動脈弁狭窄症を指摘された患者さま、大動脈弁狭窄症の患者さまをお持ちの先生方におかれましては、是非お気軽に岐阜ハートセンターTAVI外来にご相談いただければ幸いです。

TAVI外来:毎週木曜日 午前9時~11時30分 担当医 心臓血管外科医長 恒川 智宏